
こんにちは、ファイナンシャルプランナーの橋本です。
「暗号資産」と聞くと、なんとなく“難しそう”“危なそう”というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
ニュースで「ビットコインが急落」「NFTが高額取引」などという話題を耳にすることはあっても、実際にどういう仕組みなのか、私たちの生活に関係あるのかは、いまひとつピンと来ない…という声をよく聞きます。
そして最近は「ステーブルコイン」という言葉も目にするようになりました。
同じ“デジタルのお金”のように見えても、この2つは性質がまったく違います。
今回は、家計を預かる立場として知っておきたい「暗号資産」と「ステーブルコイン」の違いを、できるだけ専門用語を使わずにわかりやすく解説します。
「投資する・しない」ではなく、まずは“正しく知る”ことから始めましょう。
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<目次>
1.暗号資産とは? ― “値動きのあるデジタルのお金”
2.ステーブルコインとは? ― “価値を安定させたデジタルのお金”
3.暗号資産とステーブルコインの「違い」をひとことで言うと?
4.家計を預かる女性にとっての関わり方
5.「なんとなく怖い」から「正しく理解して選ぶ」へ
6.資産形成との付き合い方として考えたいこと
7.まとめ ― 知ったうえで、自分に合った関わり方を選ぶ
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1.暗号資産とは? ― “値動きのあるデジタルのお金”
暗号資産とは、インターネット上でやり取りされるデジタルのお金のようなものです。
代表的なのは「ビットコイン」や「イーサリアム」など。
これらは、特定の国や銀行が発行しているわけではなく、世界中の人々のコンピュータが記録を分担して管理しています(これを「ブロックチェーン」といいます)。
暗号資産の大きな特徴は、価値が常に変動するということ。
たとえば、1ビットコインがある日には100万円、別の日には50万円になったり、反対に150万円になったりします。
このように、株のように価格が上がったり下がったりするため、「投資商品」としての側面が強いのです。
【メリット】
・世界中どこでも使える
・銀行を通さずに送金できる
・将来、価値が上がる可能性もある
【デメリット】
・価格が不安定で、価値が大きく変わる
・ハッキングなどのリスクがある
・国の保障がない
つまり、暗号資産は“デジタルの投資対象”であり、“安定したお金”とは少し違う存在です。
2.ステーブルコインとは? ― “価値を安定させたデジタルのお金”
ステーブルコインは、暗号資産の仕組みを使いながらも「価値を安定させること」を目的に作られたデジタル通貨です。
英語の“ステーブル(stable)”は「安定した」という意味。
たとえば「1コイン=1ドル」のように、ドルや円などの実際の通貨と価値を連動させているのが特徴です。
暗号資産のように価格が大きく変動しないため、送金や決済に使いやすいという利点があります。
「暗号資産の便利さ」と「法定通貨の安定性」を合わせた、いわば“いいとこ取り”を目指したものと言えるでしょう。
【メリット】
・価値がほとんど変動しない
・海外送金やオンライン決済がスムーズ
・手数料が低く、24時間取引できる
【デメリット】
・発行元(企業)の信頼性が重要
・まだ法的な整備が完全ではない
・一部の国では規制が厳しい
たとえばアメリカでは「USDC」や「USDT」というステーブルコインが多く使われています。
これらは、企業が実際に持っているドルを担保に発行しているため、価値が安定しているのです。
3.暗号資産とステーブルコインの「違い」をひとことで言うと?
簡単にまとめると、次のようになります。
| 項目 | 暗号資産 | ステーブルコイン |
| 発行者 | なし(分散型) | 企業などが発行 |
| 価値の変動 | 激しい | 安定している |
| 主な用途 | 投資・資産運用 | 送金・決済 |
| リスク | 価格変動リスク | 発行元リスク |
| イメージ | 「資産を増やすためのもの」 | 「便利に使うためのもの」 |
どちらもデジタル上のお金ではありますが、「増やすため」か「使うため」かという目的が異なります。
4.家計を預かる女性にとっての関わり方
家計管理をする立場から見て、暗号資産やステーブルコインは「知っておいた方がいいけど、無理に手を出す必要はないもの」です。
たとえば暗号資産は、価格が大きく上下するため、短期的に増やそうと思うとリスクが高いです。
ただし、「将来こういう仕組みのお金が増えていくかもしれない」という知識を持つだけでも、これからの時代に備えることができます。
一方、ステーブルコインは、実際に海外に送金する機会がある人や、インターネット上でビジネスをしている人にとっては便利な選択肢になり得ます。
特に子どもが将来、海外留学や国際的な仕事をするようになれば、こうした“デジタル通貨”の理解が役立つ時代になるかもしれません。
5.「なんとなく怖い」から「正しく理解して選ぶ」へ
新しい仕組みの話を聞くと、「なんだか怪しい」「危険そう」と感じるのは自然なことです。
ですが、暗号資産やステーブルコインも、インターネットやスマホが出始めたころと同じように、社会に浸透していく可能性がある技術です。
大切なのは、「流行っているから持つ」「みんなが言ってるから買う」ではなく、
「どういうものなのかを知ったうえで、持つかどうかを自分で選ぶ」こと。
つまり、取捨選択の判断ができるだけの知識を持つことです。
6.資産形成との付き合い方として考えたいこと
これからの資産形成は、「預ける・持つ」だけでなく「どう使うか」も重要になっていきます。
たとえば、暗号資産を少額だけ保有してみて値動きを体験するのも一つの学びですし、
ステーブルコインの仕組みを理解して、将来的なデジタルマネー社会への準備をするのも価値があります。
ただし、家計の土台はまず「安定」から。
日々の生活費や教育資金、老後資金を確保したうえで、余裕資金の中で小さく試してみるのが安心です。
7.まとめ ― 知ったうえで、自分に合った関わり方を選ぶ
暗号資産とステーブルコインは、どちらも「新しい時代のお金」ですが、性質もリスクも目的も異なります。
「増やすための暗号資産」「安定して使うためのステーブルコイン」。
この違いを理解しておくことで、将来の資産づくりや家計運用の幅がぐっと広がります。
そして何より大切なのは、
“知ったうえでどう活用するかを考える”姿勢を持つこと。
これからの時代は、金融の知識が「家計を守る力」になります。
ぜひ、少しずつでも「お金の新しい形」を知り、自分に合った活用法を考えていきましょう。