
こんにちは、ファイナンシャルプランナーの橋本です。
高齢の親がいると、「この先、資産管理はどうすればいいのだろう?」と感じる場面が増えてきます。特に近年問題となっているのが、認知症をきっかけに親の資産が“凍結”され、家族が必要な手続きや生活費に困ってしまうケースです。
この記事では、凍結財産が増えている背景や、認知症との深い関係をわかりやすく解説しつつ、家族としてどのような準備が必要なのかを整理していきます。読み終える頃には、「早めの対策をしておいて良かった」と思える視点が得られるはずです。
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<目次>
1.凍結財産とは?増加している背景とその理由
2.認知症が進むと財産が凍結される理由
3.家族が今からできる凍結財産の予防策
4.まとめ
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1.凍結財産とは?増加している背景とその理由
凍結財産とは、本人の判断能力が低下したことにより、銀行口座や不動産などの資産が事実上動かせなくなった状態を指します。特に以下のようなケースで発生しやすくなります。
・認知症の発症により、金融機関での手続きが本人主体で行えなくなる
・家族であっても、法律的な代理権がないため手続きが止まってしまう
・介護施設の費用や医療費が必要でも、資産が引き出せない
近年、凍結財産の増加が注目されている要因には次のような背景があります。
・高齢化の進行:認知症患者数の増加で資産管理が困難になるケースが増えている
・単身高齢者の増加:家族との連絡が減り、発覚が遅れる
・金融機関の本人確認強化:不正防止のため手続きに厳格さが求められ、結果的に“動かせない資産”が増える傾向
具体的には、数百万円〜数千万円単位で資産が長期間動かせない状態になることもあり、家族の生活や介護に影響を及ぼす重大な問題となっています。
2.認知症が進むと財産が凍結される理由
認知症と凍結財産は密接に関係しています。家庭内でのちょっとした「物忘れ」が、実は資産管理のリスクに直結することもあるためです。
その主な理由
○金融機関の手続きが本人のみで可能とされているため
認知症になると、本人の意思確認が難しくなり、銀行は安全性を優先して取引を停止することがあります。
○家族が“代理でできる手続き”は限られているため
家族でも、法律上の代理権がなければ預金の払い戻しや契約変更ができません。
○認知症発症後に慌てて対策しても手遅れになることが多い
発症後は判断能力低下とみなされ、契約行為が無効となる可能性があるため、家族信託などの対策が実行できなくなる場合があります。
このように、認知症が進行すると資産管理そのものが難しくなり、「必要な時にお金が使えない」という事態が起こってしまうのです。
3.家族が今からできる凍結財産の予防策
凍結財産を避けるために、家族が早めにできる準備はいくつかあります。
①親の資産状況を把握しておく
・預金口座
・不動産
・保険
・投資商品
これらの情報を共有しておくことで、問題に気づくタイミングが早くなります。
②認知症対策として有効な制度を活用する
代表的な制度には以下があります。
・家族信託(民事信託):親が元気なうちに資産管理を家族が代理して行える仕組み
・任意後見契約:判断能力が低下したときに後見人として家族が対応できる
・生命保険:認知症が発症したときに家族にお金が渡せる仕組み
・生前贈与:将来的なリスクを減らす手段のひとつ
どれを選ぶべきかは家庭の状況により異なるため、専門家に相談しながら進めることが重要です。
③早い段階で専門家にアドバイスを受ける
司法書士、弁護士、ファイナンシャルプランナーなどに相談することで、家庭ごとに最適な対策が見つかります。
特に「親はまだ元気だから大丈夫」と思っている段階こそ、最も対策しやすいタイミングです。
4.まとめ
凍結財産は、高齢化や認知症の増加によって今後さらに広がる可能性のある問題です。しかし、家族が早めに現状を把握し、制度を理解し、必要な対策を進めることで、資産が動かせなくなる事態を防ぐことができます。
もし「親の今後が気になる」「具体的な対策を知りたい」と思われたなら、ぜひ専門家への相談を検討してみてください。早めの一歩が、ご家族の安心につながります。