
こんにちは、ファイナンシャルプランナーの橋本です。
「老後2,000万円問題」
「資産運用」
「NISAやiDeCo」
私たちは日々、“増やすこと”の情報に囲まれています。
ですが、ここで一つ質問です。
あなたの資産形成のゴールはどこですか?
老後の生活資金を確保すること。
子どもに少しでも多く残すこと。
それとも、自分の人生を楽しみながら使い切ること。
実は、この「ゴール設定」が曖昧なままだと、
将来“争族(そうぞく)”になるリスクが高まります。
増やすことばかり考えていませんか?
40代は働き盛り。
50代は老後が見え始める時期。
60代は資産の出口戦略を考えるタイミング。
多くの方が「いくら貯めるか」には真剣です。
しかし、「どう引き継ぐか」まで考えている方は、実は少数派です。
相続は、亡くなった後に自動的にうまくいくものではありません。
準備がなければ、
家族の関係性が試される場面になります。
争族は“特別な家庭”の話ではない
「うちは仲がいいから大丈夫」
現場で本当によく聞く言葉です。
ですが、相続トラブルは
資産が多い家庭だけで起こるわけではありません。
- 財産のほとんどが自宅不動産
- 遺言書がない
- 兄弟姉妹で収入格差がある
こうした“よくある家庭”でも起こります。
例えば、こんなケース。
父が亡くなり、財産は自宅のみ。
長男は同居して介護をしていた。
次男は遠方に住んでいる。
長男は言います。
「介護したのは自分だ」
次男は言います。
「法律では平等だろう」
ここから感情の対立が始まります。
これが“争族”です。
遺産分割で揉める本当の理由
遺言書がない場合、法律上は「法定相続分」で分けます。
しかし現実は単純ではありません。
- 不動産はきれいに分けられない
- 生前贈与の有無
- 介護や家業への貢献
特に不動産中心の資産構成では、
「売るのか」「住み続けるのか」で意見が割れます。
話し合いがこじれると、
家族関係は簡単には元に戻りません。
認知症対策をしていないリスク
もう一つ、見落とされがちな問題があります。
それが認知症対策です。
- 銀行口座が凍結される
- 不動産が売却できない
- 資産運用が止まる
家族であっても、自由に管理することはできません。
つまり、相続が始まる前に
“資産が凍る”可能性があるのです。
家族信託という選択肢
最近注目されている仕組みに「家族信託」があります。
これは、元気なうちに
信頼できる家族へ財産管理を託す仕組みです。
例えば、
- 父を「委託者」
- 長男を「受託者」
- 父を「受益者」
という形で契約を結びます。
将来判断能力が低下しても、
受託者が財産管理を継続できます。
- 認知症対策になる
- 柔軟な資産管理が可能
- 二次相続まで設計できる
ただし、設計を誤るとトラブルの元にもなるため、
専門家の関与が重要です。
「使う」か「譲る」かを決める
資産形成のゴールは大きく分けて二つです。
- 自分の人生のために使い切る
- 次世代にしっかり譲る
どちらが正解ということはありません。
大切なのは、自分の意思を明確にすることです。
- どこまで使うのか
- 誰にどの割合で渡すのか
- 公平と平等をどう考えるのか
これを言語化するだけでも、
相続リスクは大きく下がります。
今日からできる3つのこと
- 財産の棚卸しをする
- 家族で一度話題にしてみる
- 認知症対策(家族信託・任意後見など)を検討する
完璧でなくて構いません。
小さな一歩が、未来の大きな安心につながります。
まとめ
資産形成はマラソンのようなものです。
しかし、ゴールを決めなければ
どこに向かって走っているのか分かりません。
「使う」のか
「譲る」のか
そして、どう引き継ぐのか。
増やすこと以上に、
“出口設計”が重要な時代です。
家族が笑顔でいられる相続のために、
今から一歩踏み出してみませんか。