こんにちは!
『笑顔相続』ナビゲーターの橋本です。
8回目の今回は、元気なうちに財産を渡す<贈与(相続時精算課税制度)>について解説します。
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<目次>
- 相続時精算課税制度とは
- 節税にはならない
- 1度決めたら戻れない
- まとめ
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1.相続時精算課税制度とは
生前贈与には、2つの方法があります。
1つは、『暦年贈与制度』(詳しくは、<知っておきたい相続のこと⑦>で解説してます)、
もう1つは、『相続時精算課税制度』があります。
相続時精算課税制度のポイントは、生前贈与したものが2,500万円までは贈与税がかかりません。
ちなみに、2,500万円を超えた分には、20%の贈与税がかかります。
ただし、最終的に相続が発生した時に生前贈与した分を含めて相続税を計算して精算します。
【相続時精算課税制度の概要】
あげる人: 60歳以上の父母、または祖父母(住宅資金の場合は年齢制限なし)
もらう人: 20歳以上の子、または孫
対象財産: 制限なし
非課税額: 累計2,500万円まで(※2,500万円を超えた分は20%の贈与税)
税務署への申告: 必要(贈与の都度)
2.節税にはならない
暦年贈与(年110万円控除)と違い、2,500万円まで贈与税は非課税で、まとめて渡すことができるので、資産の有効活用という観点からは、相続時精算課税制度にもメリットがあると思います。
しかし、最終的には、一旦は非課税で受け取った財産も相続財産と合算して、相続税が計算されますので、課税の繰り延べであり、節税にはなりません。
例えば、安定した収入の見込める賃貸物件などをお持ちの場合は、渡した後の収入は財産をもらった人の資産となるので、相続財産を減らす効果はあります。
3.1度決めたら戻れない
一度決めたら、ずっと相続時精算課税制度を利用することになります。
後に、暦年贈与(年間110万円の控除)に戻すことはできません。
利用するにあたっては、慎重に検討することが必要です。
4.まとめ
将来、相続税がからない人や相続税がかかるとしても少額でまとまったお金を贈与する事情がある場合は、相続時精算課税制度は有効な選択肢となります。
一方で、資産家で高い税率の相続税が見込まれる人は、暦年贈与を使って相続財産を減らしたほうが、税金総額が少なくなり、手元に残せる財産が多くなります。
状況によっては、暦年贈与で贈与税を払ってでも財産を渡したほうが、相続時の税負担が少なくなり、結果的に多く残せるケースもあります。
税額のシミュレーションをするのが難しいという場合は、専門家へ相談し、失敗しない相続対策をされることをおススメします。
「笑顔相続」にできるよう、今後も情報発信していきます。
空いた時間で知識を増やし、できることから取り組んで行きましょう!
次回は、財産を受取らない選択
<相続放棄>について解説します。