こんにちは!
『笑顔相続』ナビゲーターの橋本です。
12回目の今回は、相続にまつわる過去の事例より対策を考える<相続ケーススタディ>をお伝えします。
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<目次>
- 財産はあるのに現金がない
- 財産の内訳
- 1,200万円の相続税
- しておけばよかったこととは
- まとめ
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1.財産はあるのに現金がない
日本人の相続財産金額の内訳で一番多いものは、不動産です。
※国税庁 相続財産の金額の構成比の推移より
財産の多くを不動産が占めていた不動産オーナーの相続で起きた問題をご紹介します。
2.財産の内訳
Aさん(50代・男性・会社員)は、母の相続で実家と賃貸アパート、宅地(更地)、農地、現預金を弟さん(50代・会社員)と2人で相続することになりました。
相続財産の中でも大半を占めていたのが、実家や賃貸アパート等の不動産です。
一方で、現預金は600万円あり、Aさんと弟が受取人になっている生命保険金200万円がありました。
3.1,200万円の相続税
Aさんは、持ち家でしたが実家のある市内に住んでいましたので、実家と賃貸アパート、農地に現預金300万円と生命保険金100万円を相続しました。
Aさんが負担する相続税額は、約800万円になりました。
今回の相続で、Aさんが受取った現金は400万円でしたので、残りの400万円はAさんがこれまで蓄えてきた中から持ち出しして、相続税を納めたそうです。
現在、相続した賃貸アパートからの収入はAさんに入っていますが、建物は築20年を過ぎ、空室も目立ち始め、修繕費などのオーナー負担分の増加も見込まれますので、持ち出した400万円を回収する目途は立っていないそうです。
ちなみに、弟さんの相続税額は、約400万円になりました。
弟さんは、相続で受け取った現預金300万円と生命保険金100万円の計400万円の現金でなんとか相続税を納めたそうです。
その後、相続した宅地(更地)の相続登記で数十万円の持ち出しはあったものの、売却が決まり、現金が手元に残ったようです。
4.しておけばよかったこととは
Aさんのお母さんは、たくさんの財産を残してくれましたが、相続税の納税準備対策ができていなかったことが、財産を受取った側からすれば、一番の問題点であったと思います。
Aさんは、400万円の準備ができましたが、相続税は亡くなった日から10か月以内に現金で納めることが原則です。
例えば、
・宅地(更地)を生前に売却して、現金化しておく
・相続税分を保険金で受け取るべき人に確実にわたるようにしておく
(死亡保険金の非課税枠を活用する)
などをしておくだけで、問題解決できたと思います。
5.まとめ
今回のケースでは、資産は豊富にあるが納税するための現金が少なく苦労されましたが、相続税がかからない場合でも不動産が財産の大半を占めていると相続人間での分割の問題が残ります。
相続が起こってからでは、できることは少なく、選択肢が限られてしまいます。
何事にも言えますが、こと相続に関しては、事前準備がとても大切です。
「笑顔相続」にできるよう、今後も情報発信していきます。
空いた時間で知識を増やし、できることから取り組んで行きましょう!
次回は、法定相続人以外の人にも財産を残したい場合
<遺贈>について解説します。