こんにちは!
『笑顔相続』ナビゲーターの橋本です。
16回目の今回は、家族の家族による家族のための財産管理<家族信託>について解説します。
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<目次>
- 家族信託とは
- 認知症による資産凍結の回避
- 何段階も遺産相続先の指定可能
- 不動産の共有を回避しつつ、利益を分配
- まとめ
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1.家族信託とは
『家族信託』とは、信頼する家族に財産の管理を任せる仕組みです。
親が元気なうちから子に管理・処分を託したい財産(不動産・現金・中小企業の株式など)を決めて、親(委託者)と子(受託者)で契約を交わします。
託された財産(信託財産)から得られる利益は、一般的には、親(受益者)のものとなるように設定します。
親(委託者)が亡くなった後の資産承継先も自由に指定できます。
2.認知症による資産凍結の回避
2025年には、65歳以上の5人に1人が認知症になるというデータが公表されています。
(※厚生労働省研究班の調査)
認知症になると「資産凍結」という事態に陥ります。
具体的には、もしもの時に家族に迷惑をかけないように蓄えた預貯金の払い戻しや解約ができなくなったり、施設に入るために自宅や持っていた土地・アパートなどの不動産の売却もできなくなります。
このような事態を未然に防ぐことができるのが『家族信託』です。
ちなみに、事後に解消するのは『成年後見人制度』です。
3.何段階もの遺産相続先の指定可能
自分が亡くなったら、妻に全財産を渡し、妻が亡くなったら、長男には自宅、長女と次男にはアパートを1棟ずつ渡す。
このように、代をまたいで遺産相続先を決めることもできます。
ちなみに、遺言で決められるのは直接渡す相手のみになります。
4.不動産の共有を回避しつつ、利益を分配
例えば、賃貸アパートを3人で共有した場合、入居率の低下で収入が減ったり、老朽化で修繕費がかさむので、売ってお金で分けたいと思っても全員が合意しなければ、売却できません。
また、このような状況が続くと相続が起こるたびに共有者が増え、さらに合意が取りにくくなってしまいます。
『家族信託』を使えば、長男(受託者)が管理・処分する権利を持ち、家賃収入や売却益は長女・次男も含めた3人(受益権を準共有)で分け合うこともできます。
売却などができなくなる塩漬けのリスクを回避することができます。
5.まとめ
『家族信託』の活用例をご紹介しましたが、導入するにあたっては実績のある専門家へ相談し、十分に検討した上で実行する必要があります。
また、信託監督人(専門家がベスト)を設定し、親(受益者)の想いに沿った管理ができているかチェックしてもらったり、想定外の事態にも客観的に対応できるようにしておくことも重要です。
『家族信託』も万能ではありませんので、どの方法が自分や家族にとってベストなのかを吟味してください。
「笑顔相続」にできるよう、今後も情報発信していきます。
空いた時間で知識を増やし、できることから取り組んで行きましょう!
次回は、会社経営者は知っておきたい
<事業承継税制>について解説します。