こんにちは!
『笑顔相続』ナビゲーターの橋本です。
17回目の今回は、自社株を後継者に税負担ゼロで渡せる<事業承継税制>について解説します。
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<目次>
- 団塊経営者の大量引退期到来
- 贈与税・相続税がゼロに
- 2023年3月までに権利確保を
- 制度活用はプロに依頼を
- まとめ
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1.団塊経営者の大量引退期到来
団塊世代の経営者たちが70歳を迎え、大量引退期が到来すると言われています。
そんな中で、事業承継が進まない最大の理由としては、「後継者がいない」という状態があります。
後継者不在の企業を社長年齢別でみると
60代・・・・・・53%
70代・・・・・・42%
80代以上・・・・34%
となっています。
※帝国データバンク『後継者問題に関する企業の実態調査』より
2.贈与税・相続税がゼロに
事業承継が進まないもう1つの理由として、2・3年前から相談が増加し続けているのが、自社株の問題です。
社長が万一のとき、事業を円滑に継続するためには、後継者に自社株を集中させる必要があります。
そこで、問題になるのが自社株を渡したときにかかる税金です。
先代が健在のうちに渡せば贈与税、万一の時に渡せば相続税の対象になります。
この税金の問題を解決する方法として国が用意しているのが、『事業承継税制』です。
『事業承継税制』は、2009年からスタートしていましたが、効果が限定的であったり、要件が厳しいなどから、ほとんど使われておりませんでした。
それが、2018年から10年間限定で『事業承継税制』の【特例措置】が始まりました。
これにより、贈与税・相続税の現金負担がゼロで、後継者へ自社株を渡すことが可能になりました。
3.2023年3月までに権利確保を
【特例措置】を活用する場合、2023年3月末までに特例承継計画書を都道府県に提出する必要があります。
また、2027年12月末までに実際に承継を行うことで納税猶予されます。
最終的にこの制度を使うかはまだ決まっていないとしても選択肢として持ちたい場合は、期限までに特例承継計画書を提出し、まずは権利確保しておくとよいでしょう。
4.制度活用はプロに依頼を
税負担ゼロで後継者に自社株が渡せることは、非常に魅力がありますが、この制度を活用するには内容や仕組みを熟知し、現実的な承継計画を立てて進めてゆく必要があります。
この制度は、自社株を受取った後継者が納税猶予され、更に次の後継者に渡し終えたところで納税免除に切り替わります。
自社株を後継者に渡した後も定期的に必要書類の提出等をし続けることが必須になります。
仮に、必要な手続きが遅れたり、漏れた場合は、その時点で納税することになります。
場合によっては、数十年間にわたって管理することが求められますので、検討段階から制度活用法を熟知したプロに依頼することをオススメします。
5.まとめ
出来るだけ税金を払いたくない気持ちは誰でも持っていることと思いますが、それだけに囚われずに十分に検討して取り入れるべき制度です。
また、相談相手を間違うと、自社株対策において、この制度を土俵にすら乗せられないということもあり得ると思います。
経営を継続してゆく上では、各分野の信頼できるブレーンを持つことも重要ではないでしょうか。
「笑顔相続」にできるよう、今後も情報発信していきます。
空いた時間で知識を増やし、できることから取り組んで行きましょう!
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